先日の箱根に旅行に行ったときの話です。
時々、旅で素敵な出会いがあります。
今回もそんな事がありました。
宿で夕食後に、ロビーでお会いした初老の男性と、とりとめもない会話をしていました。
男性「この建物には問題があって今回は来たんですよ」
私「それはどんな問題なんですか?」
男性「地下2階のエレベーターホールにある絵は私の描いた絵なんですよ」
私「えっ、そうなんですか?気になってしばらく拝見させていただいてたんですが、抽象的なようですしタイトルには「北の果て」とあったのですが、作者は何を伝えようとしているのか想像がつかなかった、というのが正直な感想です。でもこの建物にはいくつも絵画がありますが他の絵は記憶に残っていないのですが、先生の絵だけは???のまま、いつまでも脳裏から離れませんでした。」
男性「あれは実在する場所なんですよ。竜飛で立ち入り禁止のところを特別に許可をいただいて描かせてもらったんですよ。岩がゴロゴロと落ちてきて命がけで描いた絵なんですよ」
「・・・(沈黙)もしかしたら今では同じ景色ではないかも知れませんね。あの突起している部分も折れているかもしれませんし・・・」
私「そんなに厳しい場所なんですね」
こんな風な会話をしていたら息子が登場して場が急に明るくなり「何歳?」などと、極々普通な会話をしていたら「おじさんが絵を描いてあげようか」と言ってくれました。
私「やったねぇ、このオジサンは下にあった絵を描いたオジサンなんだって。さっき一緒に見てたでしょ?」
息子「ちょうちょ♪」
私(おいおい、会話になってないぞっ)
男性「そうか、蝶々を描いてあげよう。ちょっと待ってて筆を持ってくるからね」
先生は「これは絵ではなくて悪戯だよ」と言いながら楽しそうに描いて下さいました。
こんな経緯で息子は「蝶々」を描いてもらいました。
息子がいただいた絵です
エレベーターホールに飾られていた佐々木義文先生の「北の果て」
佐々木義文先生、本当にありあとうございました。